イギリスEU離脱問題を分かりやすく。メリットとデメリット、今後について。イギリスや世界にどんな影響があったのか。

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目次

イギリスのEU離脱問題を分かりやすく。

1 イギリスにとってマイナス要素が多かった

EUの負担金は毎年1兆5000億円以上。見返りにEUから直接与えられる補助金などその半分に満たなかった。

・EU法は細かすぎて、2万6千の法規でイギリスを束縛。自由に物事を決められなくなった。

・同じEU加盟国のルーマニアやブルガリアでは月2万5千円ほどの最低賃金だが、イギリスは月15万円ほど。その結果、EU側の要請の移民受け入れ策で、移民が大量に流入。

人々(特に労働者階級)の仕事が奪われ、最低賃金も移民に合わせた結果、賃金も下がってしまった。

・一部の病院などは移民にあふれ、街中でも移民による勝手な主張や縄張り地域ができてしまった。一部で治安も悪化。

・イギリスは社会保障が手厚く、16歳まで学校は無料で、医療費も完全無料。それは税金を支払えない移民にも適用される。そのため、財政を圧迫。

2 そこをイギリス独立党、特に党首のファラージ氏が猛烈にアピール

国民の生活が苦しいこと、財政を圧迫しているのは、「全て移民のせい」と主張。

2兆円弱のEU負担金を国内で医療の充実などに使うべき!国のルールは自分たちで決めるべきとも主張。

人々は、生活の不満からこの主張に引き付けられます。

3 人々の不満が募り、離脱の声が高まると、「それを抑え付けるために」キャメロン首相があえて国民投票を決断

キャメロン首相の読み

「まず、離脱はありえない。だから国民投票をすることで離脱派の人に残留が国家の総意ですよと分かってもらおう」

「国民投票をすれば、EUにも離脱するぞと脅しをかけられるし、負担金減らしてもらったり、優遇してもらえるかも・・・しめしめ」

国民

「実際の離脱には反対だけど、少しでも不満があることを示しておこう→離脱に投票

結果

「離脱派が上回りました」

キャメロン首相・国民「そんな馬鹿な!!・・・orz」

Britainとregret(後悔)を合わせたBregretという言葉が誕生←今ここ

国民投票の怖さは、一部の扇動政治家によって、総意が感情で簡単に書き換えられてしまうことです。

これは古代ローマ帝国でも衆愚政治として横行していました。

民主主義だからって、なんでも国民投票にすればいいと言うわけではないんですね・・・。

4 結果、世界経済にも大打撃。なぜ?

今回の離脱問題を受けて、どうして経済が悪化したのかまとめてみると・・・。

【世界中の投資家たち】

「イギリスが離脱!?EUはイギリスが支えていたのに、抜けたらEUは大変だ!ポンドやユーロは売ってしまおう。買うのは、安定してる円がいいな

そして、円が99円台まで高騰。つまり、これまで108円ほどで買えたものが、日本円だと99円で買えてしまうということに。

円が高騰すると、海外のお金の価値が下がるので、海外では日本製品が高くなってしまいます。その結果、日本企業の業績が悪化(すると投資家は予想します)

結果的に、日本の株が売りに出され、日経平均株価はリーマンショックを超える勢いで下落しました。安倍首相のリーマンショック級の経済悪化がまさに実現されてしまったわけです。

結局、イギリスはEUから離脱して正解だったの?失敗だったのメリットとデメリットを解説

イギリス離脱派は、徹底して離脱がお得だとアピールしていましたが、

実際にはそうではないと言われています。その理由は、

1 EUのメリット

5億人という巨大経済圏の中で、人の出入りや物の出入りを自由にすることで、商業を活発化させられる。

ユーロで両替手数料が不要のため、取引が非常にスムーズ。

関税がなく、農業で劣っている国には補助金も支給される。

2 EUのデメリット

移民が流入して治安が悪化する。

ユーロ通貨を導入することで、自国の経済が他の国々の動向に大きく左右される。

農業や工業が進んでいる国にとっては、発展していない国の経済を支えることになるため、拠出金などで自国の経済的に負担が大きくなる。

でも、イギリスはもともとユーロ通貨を導入せず、ポンドのままだった

ユーロではないから、通貨発行権を取られることはなく、金融の中心をロンドンに置いたままにしておけました。他の国と違い、かつての世界通貨ポンドのプライドを保ち、金融政策も他国と比べて自由に行えました。

さらにイギリスは国境を失くすシェンゲン協定にはもともと不参加

国境の審査を失くし、人々の移動を自由にしようというシェンゲン協定に、イギリスは不参加だったため、人々はイギリスに入るためにパスポートが必要で、ある程度の危険因子は排除されていました。

2 移民流入のおかげで、労働力が確保され、イギリス経済は最近伸びを見せていた

これがもっとも大きい理由。

人口が増えたことで、イギリス経済は移民に下支えされていたと言われています。

3 EU圏に入ることで、多国籍企業にとって参入がしやすかった

イギリスはEUの中で、英語が公用語の国で、先進国。

アメリカや日本の企業は、英語が通用するイギリスに本部をおいて、ヨーロッパ全域で商売をしている企業が多くありました。

関税なども統一されていたため、今まで全く問題なかった取引も、

今後は複雑になるとみて、撤退する動きがでています。

4 結論。やっぱりなんだかんだで、経済的にはEUに入っていた方がずっとお得だった。

国民感情やプライド、あるいは自治で政策を自由に決められる点では、離脱は正解ですが、

ここまでEU経済圏に浸かった現在では、経済面ではイギリスにとって打撃が大きかったと言わざるをえません。

今後の動向はどうなるの? 池上さんの解説にも注目。

1 イギリスの選択肢は2つ

イギリスの選択肢は、このまま結果を受けて2年間の協議を得て、離脱するか。

あるいは、残留のための方法を取るか、です。

有力なのは、残留の方。

実際既に6月29日の時点で、350万人を超える国民投票を再び行うための署名が集まっています。

イギリス議会は10万人を超える署名があった場合、再び議論を行うことができるとされています。

そのため、キャメロン首相が辞任した後に、新しい首相が新たに国民投票を行う可能性が高いようです。

2 実は今回の国民投票には法的拘束力はなかった

実はイギリスの国民投票には法的な拘束力はありません。

イギリスの主権は「議会における女王」で、結局どうするかは議会が決めます。

そのため、今回の投票を無視することもできますが、それをやることは今後の信用に大きく影響するため、可能性としては低いです。

また、一度国民投票をして内外にアピールした以上、今更「やーめた」とはできないため、表向きには、離脱についてEUと協議を進めつつ、

離脱反対の首相を選挙で選びなおし、再び国民投票をする、または首相の公約として、『離脱しない』を掲げて当選後、撤回するという話に持っていくと思われます。

※ちなみに日本の場合の国民投票は、現在のところ憲法改正についてのみ定められています。

国民投票で、改正が過半数を超えた場合、内閣総理大臣はただちに改正手続きをたらなければならない、と強制力をもっています。

3 EUや他の国々はどうするのか

EUとしては、今回の騒動でEU自体の信頼を失い、さらに通貨下落を招いてしまったことで、今後もイギリスに強い圧力をかけていくことになります。

「さっさと離脱しろ」という首相もいます。

でも、イギリスはドイツ・フランスと並んでEUに多大なお金を払っていた国。

それが脱退するとどれだけ他の国の負担が増えるか目に見えています。

そのため、一部の識者はこれをアピールとみて、実際は裏で離脱しない方向にもっていくのでは?としています。

他の国々も次々に辞める、という可能性については、もともと戦争回避のために作られた経緯がありますから、可能性としては低いようです。

特にドイツは二次大戦の負い目があるため、最後まで残るとも言われています。

【ちょこっとコラム】

EUの起源について。

もともと二次大戦はヨーロッパの資源争いも一つの原因になっています。

特に有名なのは、フランスとドイツの国境付近にある鉄鋼と石炭の一大産地。

その奪い合いは昔から続いていました。

そのため、二次大戦終結後に、

「資源を共同管理することで、戦争を失くそう」と始まったのが、

1952年のECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)です。

フランス・西ドイツ・イタリア・オランダ・ベルギ―・ルクセンブルクの6か国で始まりました。

その後、アメリカや日本の経済大国に対抗するために、経済協力を目的とした

1958年にECC(欧州経済共同体)

原子力という脅威とエネルギーを共同管理しようとした

1958年のEURATOM(欧州原子力共同体)が設立。

それらをまとめて、

1967年にEC(欧州共同体)が設立されました。

イギリスは1973年からようやく加盟したので、ちょっと遅めですね。

4 池上解説に見る今後の動向は?

1 まずは、これを契機としてスコットランドが独立へ

もともとイギリスは、イングランド・ウェールズ・スコットランド及び北アイルランドの連合国です(イングランド・ウェールズ・スコットランドは行政府をそれぞれ持ちますが、統一王国)。

昔からイングランドはスコットランドに侵攻を繰り返し、今でもスコットランドではイングランドに対して厳しい評価が残っています。

また、今回の国民投票では、スコットランドと北アイルランドは残留派が多数だったため、

スコットランド行政府は、EU残留を表明しています。

つまり、イギリスが離脱するのなら、私たちはイギリスから独立して、スコットランド国になりますという主張です。

もともとスコットランド、北アイルランドでは、独立したいという気運が高かったため、絶好の機会と考える人も多いようです。

これを考えると、いかにイギリスのEU離脱が難しい選択かわかります。

※ちなみに富裕層が多いロンドンでは、残留派が多く、ロンドンとしてイギリスから独立しようとする署名も集まっています。現実的にはちょっと無理があるかもですが、富裕層と労働者層との格差がこのようなところでも見られます。

2  離脱ドミノが発生!?

経済が低迷する中、経済弱小国の面倒まで見切れないという勢力は、ヨーロッパ先進国では思った以上に大きいです。

難民や移民の流入に不満を持つ人々は、イギリスだけではなく、フランス・ドイツでも多数。

そのため、それらの勢力は今回の決定を受けて、「イギリスが離脱したなら、我々も」と国を扇動する可能性は捨てきれません。

追記:チェコのゼマン大統領は1日、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)からの離脱の是非を問う国民投票の実施を目指す考えを明らかにしています。

池上さん

「最近は各国が内向きになっています。アメリカのトランプ大統領のように、我々がよければいいという考え方が広まっていく現実が示されています」

内向きのブロック経済は、まさに二次大戦の引き金だったため、それだけはなんとか避けたいものです・・・。

現在は多国籍企業が各国に広まり、かつてのように閉鎖的な植民地運営では成り立たなくなっていますが、怖いのは人々が「俺たちは特別。お前たちは違う」という意識を持つことだそうです。

認知科学者の苫米地さんは、

「戦争のための予算を使うより、世界中に支援をしたほうがいい。世界中に支援をする国をどこが攻撃しますか? もし攻撃したら世界から袋叩きにされます。むしろ積極的に支援をしていく方が自国を守ることにつながります」

とかつて発言されていました。

うん、ちょっと納得かも。(^^)

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